「やったー!李厘の勝ちぃ!おねぇちゃんがオニだよ♪」

「あうぅぅっ・・・」

思わずぱぁを出した自分の手をじっと見つめた。
何故だろう、ジャンケンで負けたのがやけに悔しい・・・あぁ、そういえば昔なんかで読んだ本でぱぁを出して負けると自分が馬鹿(パァ)みたいって誰かに言われた台詞があったからそのせいか?とか思っていたら李厘が早速扉を開けてウキウキとした表情でこっちを振り返った。

「それじゃぁ李厘隠れるからおねぇちゃんは目つぶって、20数えたら捜しに来てね!」

「うん分かった。20ね?」

「うん、それじゃぁ・・・っあ!!!」

突然李厘が大きな声を上げ、慌ててあたしの方へ戻ってきたかと思うと洋服の裾を思い切り引っ張った。
あたしはと言うと数字を数える気満々で側の箱に顔をくっつけていたので、急に李厘に服を掴まれた反動で首が後ろにごきっと反ってしまった。

「いたたっ・・・どうしたの?もう数えるよ?」

「ゴメンナサイ!」

「は?」

「おねぇちゃん李厘の事知ってるのに、オイラおねぇちゃんの名前知らないんだ。一緒に遊ぶのに名前知らないのって変だよね?」

そう言ってじっとあたしの目を見る李厘。

か・・・可愛いぃ〜!!

あまりの可愛らしさにその体をギュッと抱きしめてしまった。
僅か数秒の事だったけど、李厘は別に慌てるでもなくあたしの腕の中でじっとしていた。

「おねぇちゃん・・・く、くるしぃ〜っ」

「え?あ、ゴメン!!」

慌てて腕の力を緩めると李厘は大きく深呼吸を繰り返した。

「ゴメンね李厘ちゃん!あんまり李厘ちゃんが可愛かったから・・・」

「ううん、別にいいよvそれに何だかスゴク気持ちよかった!」

「そう?」

「うん!あ、それでおねぇちゃんの名前は?」

忘れてた。
あたしは右手を李厘の方へ差し出し、にっこり笑って自己紹介をした。

「あたしはだよ。」

「うん、ちゃんだね?じゃぁ、今度こそオイラ隠れるから、ちゃ〜んと20数えてね!」

「はいはい、それじゃぁ行くよ?いーち   にぃー・・・」





「じゅーく・・・にーじゅう!もういいかい?」

もういいかいとは言え、吠登城内がかくれんぼの場所だとしたら返事は聞こえないだろう。あたしはそれを勝手にOKと解釈し、始めてこの部屋の扉を開けた。
扉から顔を出して周りをきょろきょろ見るが、李厘らしき人影も無ければ他の人物の気配も感じられない。
用心しながら物置部屋(?)の扉を閉め左右を確認した。



物置部屋を背に右側に視線を向けるとどうやらその奥にまた扉らしきものが見える。
また物置か?
まぁそこが何だかは分からないけど何かの部屋だろう。
逆側に視線を向けると壁に突き当たってしまい、そこからまた右に進むようになっていてその先はどうなっているかは見えない。

「さ〜て、李厘ちゃんは何処にいるんだろう?」





さて、貴女はどちらに進みますか?

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